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きょうふ [小説仕立]

 

それは音もなく襲ってきた。最初の頃は、得も知れぬ不安感。

それがまるで伝染病みたいに広がっていく。ざわわざわわ・・

いつもなら静かにひっそりと眠っている街に静かに襲ってきた。

不安は不安を呼び真夜中だというのに徐々に不安は増大していく

何かがやってくるかもしれない・・・・・・・・・いつもは、明るいはずの

街路灯が少しばかり暗く感じる。電圧が低くなっているのかも?

何か重大なことがおこる前兆じゃないか・・・・・・街路灯の電灯も

パチパチと不安げに点滅を繰り返している。

ついには、真夜中だというのに鳥たちにもこの不安感は伝染していった

木々の中でムクドリたちは、ざわわざわわざわわざわわと騒いでいる

ついにはカラスにまでこの不安感は、伝染していった

カラスのカアーッカアーッという声が夜明け前の街にこだまするようになった

こうなったら人間たちにもこの不安感が伝染ってきて波紋のように

またたくまに広がっていった。何か恐ろしいことが起こる・・・・・・

この不安感に街中の人間たちがぞろぞろと起きだしてきた。

いつもなら新聞配達人しかいない筈の夜明け前の街なのだが、

まるで波紋のように平屋のほうから電気が点灯し始めて、ついには

マンションの窓にも電気が次から次へと点灯していく。

その点灯の拡がり方は、まるで渦のようにグルグルと回転するように

明るさがひろがっていく

不安は不安を呼び大きな大きなうねりとなって人々を飲み込んでいく

ついには、隣近所で囁くようにあちらこちらでこの不安について語り合っている

何が来るのかしら?何かが襲って来るのよ?重大なことがおこるのよ?

憶測がさらに不安を増大させていく。その囁きは大きな渦となって

次第次第に波のように広がっていく。ついには、犬や猫にまで伝染してしまった

人々の、ささやき声が大きな不安感として混沌としてきた頃には、行動に

移すものが現れ始めた。とにかく逃げなくてはならない。一部でパニック的な

行動が現れ始めていた。車のエンジンが各戸から響き始めた。ついには

慌てふためいて小さな子供をたたき起こし、とにかく逃げるのよと騒いでいる

各戸の車は、次から次へと郊外を目指して出発をし始めていた。

そうなると食料の確保である。こんな真夜中にやっている店はコンビニしかない

街のコンビニでは、食料品や水などの飲み物を買い求める人でまたたくまに

満員になり、そしてまたたくまに棚の中は、空洞になっていく。

それでも不安感は、前にも増して大きくなりパニックへと連鎖していく

中心部から郊外に向けて突然始まった人間の大移動

道路は既に渋滞の光の束と化していた

そんな恐怖のパニックは貧乏四畳半にも伝染してきていた。

 

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